空気嚥下症
「くうきえんげしょう」
という病気をご存知ですか?
胃や食道、腸に多量の空気が溜まり、胸焼け、ゲップ、腹部の膨満などが起こる病気です。なんと日本では8人に1人が空気嚥下症に悩まれています。
空気を飲み込むクセによって起こり、別名「呑気症」(どんきしょう)とも言われています。
一般的な胸焼けは胃酸の出過ぎや欠乏が原因ですが、空気嚥下症の場合は、胃酸を抑える薬を飲んでも良くなりません。
そのためNHKのためしてガッテンなどでは“ニュータイプ胸焼け”と呼んでいます。
胸焼け、げっぷが長引く理由は、なんと「空気」だったんです!
日常生活に支障が出るくらいひどくなってしまう方もいるので、早めの注意と対策が必要です。
下記のような症状が出たら空気嚥下症かもしれません。チェックして見ましょう!
- 空気嚥下症とはどんな症状?
- 空気嚥下症のタイプは2つ
- 空気嚥下症の原因?
- 対策の意外な落とし穴
- 空気を飲み込んでしまうワケ
- 治療法「食べ方」「薬」ほか
- 何科に行けばいい?
一緒に見ていきみましょう。
空気嚥下症とはどんな症状?
空気嚥下症(呑気症)の主な症状です。
チェックしてみてください。
胸(上腹部)がやけるような
不快感が起こります。
胃に近い食道付近が胃酸や
胆汁によって刺激を受けたり
何らかの原因で拡張すると
胸焼けが起こります。
「ゲップ」
胃と腸に空気が
溜まり過ぎて痛みがでます。
空気の塊のようなゲップがでる。
ゲップが出始めると次々出る。
「おなら」
臭くないオナラやゲップがでる。
(臭いのあるげっぷやおならは、
消化や腸内細菌などにより
胃腸で作られたガスです。)
※さらに空気嚥下症のひとは
肩こり、頭痛、アゴや
目の痛みなどの症状が
でることもあります。
これは「噛みしめ動作」によるもので
「噛みしめ呑気症候群」といいます。
⇒噛み締め呑気症候群(ページ中程)
※空気嚥下症によく似た症状が出る病気は他にもあります。
「逆流性食道炎」もチェックしておきましょう。
⇒逆流性食道炎早めの症状チェック
空気嚥下症 2つのタイプ
空気嚥下症(呑気症)には
心因性のものと
器質性の2タイプがあります。
ほとんどの場合がこのタイプ。
心因的な嚥下が原因とされ、
ストレスの多い人、
神経症傾向の人、
うつ状態の人
胃神経症やヒステリーの人に
多く見られます。
「器質性」
器質性の場合、
消化器の専門医を受診し、
レントゲンやCT、
胃カメラなど内科の検査します。
検査の結果、
消化管の異常がなければ
心配は要りません。
他にも下記の習慣が原因の場合も有ります。
「不適切な食物」
「不適切な飲料摂取方法」
「スポーツ」(水泳など)
空気嚥下症の原因
ワルさの正体は空気!
人は食事の時に、
多少は空気を飲み込んで
しまいますが、あまりにも
空気の量が多過ぎると
胃、食道、腸に
空気が溜まり
胸焼け、げっぷや腹部の膨満などの
症状を引き起こしてしまいます。
さらにゲップした時に
胃酸のまじった空気の逆流が発生。
ストレスを抱えていると、
食道の上部に多いTRPV1という、
異物センサーが知覚過敏状態
になってしまうため、
更なる胸やけを
引き起こしてしまうのです。
そしてストレスを抱えている人は
頻繁にため息をつきます。
「はーぁ、、、」、と
息を吐いた後に
口に空気が入り込みツバと
一緒に空気を飲み込んでしまうのです。
空気嚥下症の原因
ワルさの正体は空気なのです。
空気嚥下症
対策の意外な落とし穴
空気嚥下症の人は、
胸焼けやゲップなど
上腹部の不快な症状を
少しでもラクにしようとして
「空気の飲み込み」をくり返してしまいます。
空気の嚥下をすればする程、
症状は悪化。
胃、食道、腸が
空気でパンパンになり
空気と一緒に胃酸は逆流。
食道の異物センサーは
知覚過敏になり胸焼け。
さらにその不快な症状を
少しでも和らげようとして
また「空気の嚥下」をくりかえす。
という悪循環・・・。
これでは対策になるどころか
逆にひどくしてしまいます。
空気を飲み込んでしまう
要因を知っておこう!
自分がどんな時に、
空気を呑んでしまうかを知る!
理由を知ることで
症状改善、治療の手助けになります。
以下が空気を飲み込んでしまう
主な要因です。
- 食べ物、飲み物を
「ゴクッ」っと飲む - 十分に噛まないで飲み込む
- 早食い
- 遅食い
- 胃の違和感による飲み込み
- 副鼻腔炎、蓄膿症などの後鼻漏
- 猫背(前傾姿勢)
- 口呼吸
- 鼻で呼吸ができないこと
- 喋り方によるもの
- 無意識にツバを飲む
- 無意識に歯を噛み締める
「生活」
「クセ」
(TCHといいます)
空気嚥下症を治す
10の治療法
空気嚥下症を治す方法は
原因を取り除くことが
治療法になります。
原因は人それぞれですので
自分にあった方法を
見つけていきましょう!
まずは胃に良くない食べ物を
避けるだけでもかなり改善されます。
空気嚥下症の治療は
「正しい食事の食べ方」から!
下記の10の治療法を
参考にしてみてください。
①
空気を飲まないよう
食事をゆっくり食べる
早食いは食べ物と一緒に
空気を飲み込みやすくなります。
ゆっくりかんで食べることを
心がけましょう。
②
飲むとき大げさにすすらない
お茶など飲み物をのむ時は、
「ひゅぅううー」っと
口笛の逆のように、
多量の空気を飲み込むのをやめます。
飲んだ後に出る
「げーッぷ」もなくなります。
③
猫背はNG!姿勢を正しく
前傾姿勢や、前屈みの猫背は
胃の中の圧力が上昇して
噴門(胃と食道のつなぎ目)に
負担がかかり胃液が
逆流しやすくなってしまいます。
さら空気を飲み込みやすく
奥歯も噛み締めやすくなるため
症状を悪化させます。
まっすぐな正しい姿勢を
意識するだけで
症状が軽くなります。
④
胃に良くない食べ物と
飲み物を控える
脂肪を一気に沢山摂ると
脳が噴門をゆるめる指令を出し
胃液が食道に
逆流してしまうので注意!
胃腸に負担をかける
味の濃い食品や
冷たい食材も控えましょう。
揚げ物・スナック菓子
甘い物
ケーキ、アイス
イモ類
さつまいも
根菜類
ごぼう
刺激物
香辛料、唐辛子、ペッパー
お酢
酢の物、梅干し
飲み物
アルコール
コーヒー
炭酸飲料
冷たい牛乳
⑤ 薬
空気嚥下症では、
軽症の場合はあまり薬は用いません。
食道の知覚過敏を抑える
食道粘膜保護薬や
溜まった空気(ガス)を出す目的で
消泡剤や消化剤の投与が主です。
重い心因性の場合にのみ
軽度の抗うつ剤や
安定剤を使用する事もあります。
市販薬を使うなら
腸にガスがたまりやすい人向けの
消泡剤や、いわゆる整腸剤を
症状が気になるときだけ
使うといいでしょう。
⑥ 漢方薬
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
という漢方薬が
膨満感などの胃の不快感や、
ストレスが原因の胃炎に有効です。
医師に相談の上、服用しましょう。
⑦ サプリメント
空気嚥下症の最大の原因は
ストレスと言われているように
ストレスをできるだけなくし、
リラックスすることが
完治への近道。
近年は、ストレスを予防改善する
サプリメントが色々出ています。
セロトニンやメラトニンなどは
その代表格。
植物のニノを発酵させてできた
睡眠ドリンクもオススメです。
商品説明を読み比べて、
自分にあうサプリを
見つけると良いでしょう。
⑧ マウスピース
噛みしめが原因の場合は
歯科でマウスピースを
作ってもらいます。(相場は五千円前後)
安価な市販のマウスピースから
試しても良いと思います。
⑨ ツボ
おなかにある
「神闕」(しんけつ)と
「天枢」(てんすう)というツボは
胃痛や胃の不調に効果的です。
⇒おへそ位置
「天枢」(てんすう)
⇒おへそから指三本分外側
二つのツボをドライヤーで
ポカポカするまで温めます。
カイロを貼ってもOK。
⑩ 喫煙は厳禁!
喫煙は胃腸の大敵!
胃の粘膜を痛めつけ
病状を治りにくくします。
血行を悪くし、さらには、
抵抗力を落としますので
絶対に避けるようにしましょう。
空気嚥下症かも
何科にかかる?
初診に適した科は
「内科」「消化器科」 になります。
ゲップや胸焼けの症状が
食道や胃腸で起こる病気は
他にもあるので消化器専門医の
診察を受けるのが重要です。
検査を受けて食道や胃に
器質的疾患がなければ
まず心配はありません。
症状が改善されない。
どうしても気になる。という場合は、
「心療内科」や「精神科」を受診します。
噛みしめ呑気症候群については、
「歯科」(口腔外科)
副鼻腔炎が原因の場合は、
「耳鼻科」になります。
まとめ
空気嚥下症は
ゲップや胸焼けなどの症状が主で
なかなか周囲の理解をえられず
本人はとても苦しみます。
ゲップやおならなどの
症状そのものがストレスになり
さらに悪化してしまうケースも。
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セルフケアも始めましょう!
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