逆流性食道炎
(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)とは?
胃液や十二指腸液が
食道に逆流することで
食道の粘膜にびらんや
炎症を引きおこす疾患名です。
日本人には少ない病気でしたが
食生活の変化にともない
近年では若者から高齢者まで
患者さんが増えています。
ためしてガッテンでは
ニュータイプ胸焼けと名づけていました。
炎症やびらんを放っておくと
ガンなど別の病気を
引き起こしてしまう事もあります。
不調を感じたら早めの対策が肝心!
- 逆流性食道炎とはどんな症状?
- 逆流性食道炎のメカニズム
- 逆流性食道炎の3大原因
- こんな人はなりやすい!
- 逆流性食道炎の予防対策
- 逆流性食道炎の治療法
- 何科に行けばいい?
「食べ物」「姿勢」「薬」「ツボ」ほか
長引く胸焼けの新理由を
一緒に見ていきましょう!
逆流性食道炎とはどんな症状?
下記の症状が続く場合、
逆流性食道炎の可能性があります。
症状があてはまるかどうか
セルフチェックしてみましょう。
なかには食道に炎症が起こっていても、
あまり症状を感じない患者さんもいます。
逆流性食道炎の主な症状
「胸焼け」
「キリキリ」
英語で Heartburnというように、
みぞおちや上胸部が焼けるように痛みます。
「呑酸」(どんさん)
酸っぱい液体が口まで上がってくる。
食事中や食後に横になったときや
前屈したときに喉や口に胃酸が逆流する。
「嘔吐」
「ムカムカ」
呑酸がひどい場合は嘔吐してしまうことも。
「胃の違和感」
「喉の違和感」
「イガイガ」
「声のかすれ」
逆流した胃液で、胃やノドに炎症が起こり
違和感や痛みを感じることも。
ひどくなると食べ物が飲み込みづらくなり、
声がかれたりすることも。
「喘息、咳」
逆流した胃液が喉を刺激し、
咳や喘息を引き起こす場合も。
そのほかの症状
「腹部膨満感」
「不眠」
これらの症状はひとつだけではなく、
重複してでる場合もあります。
また逆流性食道炎の症状に
よく似た症状があらわれる
空気嚥下症(くうきえんげしょう)という病気もあります。
関連記事⇒空気嚥下症の症状チェックと治し方
逆流性食道炎のメカニズム
逆流性食道炎の原因は
胃液や胃の内容物の逆流!
通常、下部食道括約筋
(かぶしょくどうかつやくきん)という
仕組みが逆流から食道を
守ってくれます。
しかし、ストレス、肥満、加齢、
姿勢、食事の内容などによって
正常に働かなくなってしまい
胃酸が増えすぎてしまいます。
本来は閉じているはずの
下部食道括約筋や
胃と食道のつなぎ目である
噴門(ふんもん)のしまりが悪くなり、
胃酸が食道へ逆流してしまい
逆流性食道炎が起こってしまうのです。
そして、げっぷで逆流してくる
「胃酸の混じった空気」に
食道の上部に多いTRPV1という、
異物センサーが反応し
知覚過敏状態になってしまい
更なる胸やけを引き起こしてしまいます。
<画像出典>http://www.nagoya-1st.jrc.or.jp
食道自体には、逆流してきた胃酸や食べ物を
胃へ押し戻そうとする
「蠕動運動」(ぜんどううんどう)という
働きがありますが、加齢や生活習慣によって
「蠕動運動」そのものが
低下することも逆流性食道炎が
起こる原因の一つになります。
逆流性食道炎の3大原因
甘い物、脂っこいものを食べると
胃酸が多く出るので胃酸が
食道に逆流しやすくなります。
食生活が欧米化した背景もあり
食生活が原因の場合が多い。
②生活習慣の悪化
タバコ、飲酒は逆流性食道炎の
発生を促進します。
③ストレスの増大
ストレスは、食道の働きを弱くし
回復も遅らせます。
逆流性食道炎の原因を
もっと詳しく
さらに詳細な逆流性食道炎の原因は
下記のようになっています。
- ストレス
- 過飲過食
- タンパク質の多い食事
- 脂肪分の多い食事
- 消化不良
- 喫煙
- 飲酒
- 食道下部括約筋の弛緩
- 食道裂孔ヘルニア
- 便秘
- 加齢による機能低下
- 妊娠による腹部圧迫
- 肥満による腹部圧迫
- 激しい運動
こんな人はなりやすい!
下記のようなタイプの方は
逆流性食道炎になりやすいので
注意する必要があります。
- 油っぽいものを良く食べる方
- 過食の方
- ストレスの多い方
- 太っている方
- 妊娠中の方(妊婦さん)
- 高齢で腰の曲がった方
- 高負荷の筋肉トレーニングを行う
アスリート
逆流性食道炎の予防
逆流性食道炎は、
症状が改善しても再発しやすい病気。
自覚症状がなくなっても、
生活習慣と食事に
気をつけることが大事です。
「生活で注意すること」
前かがみにならない
お酒、タバコは控える
ベルトや下着でしめつけない
重いものを持ち上げない
適度な運動をする
左を下にして横向きで寝る
「食事で注意すること」
ケーキやアイスなどの甘い物を摂らない
香辛料を摂り過ぎない
コーヒーやアルコールを控える
食事を食べた後、すぐに横にならない
早食いをしない
食べ過ぎない
腹八分目
などを心がけるとよいでしょう。
逆流性食道炎の治療法
逆流性食道炎のおもな治療法は
「食生活の改善」
「生活習慣の改善」
「薬物療法」です。
重症の場合は手術をすることもあります。
①胃液の逆流を
おこしやすい食べ物を避ける
詳しく⇒「胃に優しい消化の良い食べ物・飲み物」「胃に悪い食べ物」
脂の多いもの⇒
揚げ物、スナック菓子
タンパク質⇒
牛肉、豚肉
甘い物⇒
ケーキ、アイス
イモ類⇒
さつまいも
根菜類⇒
ごぼう
柑橘類⇒
みかん、レモンなど
刺激物⇒
香辛料、唐辛子、ペッパー、梅干し
タンパク質の多い食事は消化に時間がかかり、
胃液の逆流が起こりやすくなります。
脂肪の多い食事も胃が引き伸ばされ、
下部食道括約筋がゆるみやすくなります。
また脂肪の多いものを一気に食べると
脳から噴門(胃と食道のつなぎ目)を
ゆるめる指令が出てしまい胃液が
食道に逆流しやすくなるので注意を!
アルコール
コーヒー
アルコールは、胃酸の分泌を増やすと同時に、
下部食道括約筋をゆるめることが分かっています。
カフェインも、胃酸の分泌を増やしてしまいます。
②おなかを締めつけないようにする
ベルト
コルセット
きついタイツ
ガードル
着物の帯など
③「猫背」姿勢に気をつける
「猫背」は、胃の中の圧力が上昇して
噴門(胃と食道のつなぎ目)に
負担がかかって胃液が逆流しやすくなります。
前かがみの姿勢は逆流性食道炎に
深く影響するので気をつけましょう!
食後3時間くらいは、胃の内容物の
逆流が起こりやすいので要注意。
食べてすぐ横になったり、
就寝前に食事をとることは避けます。
寝る時は、少し上半身を
高くして寝ると良いでしょう。
④薬物療法
生活習慣の改善と並行して
多くの患者さんは薬による治療を行います。
薬による治療を始めると、
多くの方で症状の改善がみられます。
ただ、食道の炎症、びらん、潰瘍は
すぐに治るわけではありません。
「ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)」
胃酸の分泌を抑えます。
副作用⇒発疹、便秘、下痢、口の渇き、
食欲不振など
「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」
胃酸の分泌を抑えます。
再発を繰り返す場合には
薬を服用し続けることもあります。
副作用⇒まれに肝障害や発疹
「粘膜保護薬」
食道の粘膜をおおって、
逆流してきた胃液から食道を守り、
炎症の改善を助けます。
副作用⇒下痢、便秘
「制酸薬」
胃酸を中和して、
食道粘膜が傷害される程度を軽くしてくれます。
副作用⇒下痢、便秘
現在使われている薬では、
胃から食道への逆流を
根本から治すことはできないため、
根気よく薬による治療を
続ける必要があります。
軽症の患者は症状がある時だけ
服薬する治療が行われることもあります。
⑤漢方薬
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)という
漢方薬は胃の不快感や、
ストレスが原因の胃炎に有効です。
医師に相談の上、服薬しましょう。
⑥ツボ
おへそ周辺にある
「天枢」(てんすう)と
「神闕」(しんけつ)というツボは
胃痛や胃の不調に効果的。
おへそ位置
「天枢」(てんすう)⇒
おへそから指三本分外側
二つのツボにカイロを貼るか、
ドライヤーでポカポカするまで温めます。
⇒【胃が痛い時に効く7つのツボ!】胸焼け・胃もたれ・胃腸炎に効く!
逆流性食道炎は何科にかかる?
~診断の流れ~
初診⇒
「内科」「消化器科」になります。
診断の流れ⇒
主に問診と内視鏡検査を行います。
問診の際には、気になる症状を
先生にしっかりと伝えましょう。
内視鏡検査では、
(1)炎症の程度を確認
(2)他の悪性疾患の有無の確認します。
じつは私も先日胃カメラをしてきました。
まとめ
逆流性食道炎の場合、たとえ
はっきりとした自覚症状を感じなくても
炎症の治療に取り組むことが大切。
食道の粘膜が胃の粘膜に変性する
バレット食道、食道がんなどの
合併症の予防にもつながるからです。
もしかして?と思ったら
早めに受診し、生活改善を始めましょう!
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